美少女の美術史

 

“美少女なんて、いるわけないじゃない。„

「美少女」は、美術、漫画、アニメ、映画、文学、芸能など様々な分野に登場する、現代日本文化における特徴的なモチーフです。「少女」という概念が一般に定着したのは、近代的な学校制度の整備により女学生という身分が生まれ、また出版文化の発達によって少女雑誌文化が花開いた20世紀初頭とされています。しかしこれ以前にも「少女」にあたる若い女性は美術に表現されていました。

本展覧会では、「美人図」が盛んに制作された江戸時代から、「少女」が誕生した近代を経て、「美少女」が日々メディアをにぎわす現代にいたるまでの様々な少女のイメージを紹介。出品作品は江戸の花ともいうべき浮世絵から、近代に隆盛した美人画、少女たちの心をとらえた叙情画、さらには戦後文化を象徴する漫画やアニメ、フィギュアといったキャラクター文化、そして現代社会における少女イメージを表したアート作品まで多岐にわたる約110名の作家の300点を越える作品、資料によって、私たち日本人が少女という存在に何を求めてきたのを振り返りました。

この展覧会では共同企画展の新しい試みとして、会場ごとに展示構成を変え、印刷物もそれぞれのコンセプトに沿って制作することで、「一粒で3度おいしい」展覧会を目指しました。

2014年度美連協大賞・奨励賞受賞

青森県立美術館:美少女の美術史~「少女」について考えるための16の事柄

2014年7月12日(土)~9月7日(日)

静岡県立美術館:美少女の美術史~憧れと幻想に彩られた私たちの偶像

2014年9月20日(土)~11月16日(日)

島根県立石見美術館:美少女の美術史

2014年12月13日(土)~2015年2月16日(月)

 

新作アニメ:女生徒

イラスト:塚原重義 ©ASSi / 塚原重義

原作は太宰治の小説「女生徒」。同作は太宰の愛読者の少女の日記を下敷きに執筆された女性一人称小説で、1939 年の雑誌「文学界」に発表されました。物語に描かれるのはある年の5 月1日。東京に暮らす女学生のことばを借りて、自意識になやむ思春期の心のうちを描きます。「美しく生きたい」と少女は言います。

しかし、世知にたけてくる心や、ひとりでに成長していく体に、いらだちを覚えざるを得ません。世の中もまた、平穏ではありません。「きっと、いまの戦争が終ったころ……」とつぶやく少女。その日常に染みのような影を落とす戦争を私たちは見過ごすことができません。

いつも世界は揺らいでいて、少女たちの心のうちも揺らいでいます。わたしたちは時にその揺らぎに共振し、時に大きなへだたりを感じつつも、みずからとして在りつづけようとする少女たちの意志への共感を隠すことはできないでしょう。しかし、少女はいつまでも少女として存在することはできない。
すべての少女たちと、かつて少女だった人々へ。少女へ恋い焦がれるすべての人たちと、かつてそうであった人々へ。

 

原作:太宰治
企画:トリメガ研究所(川西由里、工藤健志、村上敬)
監督:塚原重義
演出/脚本/絵コンテ/キャラクターデザイン/美術/撮影/編集:塚原重義
幻想デザイン/作画:アカツキチョータ
水彩画/佐竹 慎
音楽:大口俊輔
アニメーション制作:弥栄堂

声の出演:
朗読 遊佐未森
南島 毅、大前愛華、工藤健志

協力:津島園子、辻村聡志、東京モノノケ、宵町めめ、千谷総(アートボックス)、水上利保(水音社)